留学しても英語が上達しない理由(特に語学留学)

英語圏の国に留学すると英語がペラペラになる、
と思っている方もいると思います。

でも残念ながら、
そんなに簡単にペラペラになるわけではありません。

びっくりするかもしれませんが、語学留学などで

日本人とあまり喋らないようにして、
英語圏の人達と積極的に話すようにする。

というふうに過ごしても、
1年経っても英語はあまりしゃべれない人もいます。

なぜそんなことが起こるのでしょうか?

ここではその理由をご紹介します。

※ちなみに語学留学というのは、
現地の語学学校に通いながら語学を勉強する留学のことです。

英語力=理解可能なインプット量

あまりにも当然なことですが、
英語を習得する時には大量のインプットをする必要があります。

インプットとは、基本的にリスニングやリーディングのことです。

これはすべての言語で言えることですが、赤ちゃんが言葉を覚える時、
最初はその言葉を2000時間ぐらいリスニングするそうです。

正確に2000時間かどうかはよくわかりませんけども。

で、「とにかく大量に英語を聴けば、いつか英語がわかるようになるはず」
と考えてしまって、「語学留学」という選択をしてしまう人がいるのです。

もちろん「英語を使わざるを得ない状況に身を置けば、
英語をしゃべれるようになるはず」と考えている人もいると思います。

留学をしない場合でも、家で英語のニュースを流しっぱなしにしたり、
英字新聞を読もうとしてみたりする、という人もいるはずです。

しかし初心者の場合、こういうやりかたではなかなかうまくいきません。

なぜなら、赤ちゃんの場合は「英語力=インプット量」ですが、
大人の場合は、正確に言うとそうではないからです。

私が専門学校に通っていた時、ニュージーランド人の先生がいました。

その人は、もちろん英語はしゃべれるのですが、
日本語はまったくわかっていませんでした。

日本に来てからは日本でずっと暮らしていて、
日常生活や私達の会話で日本語を大量にリスニングしていたはずなのに、
2年たってもほとんど日本語を理解できていませんでした。

言語学習にはインプットは大切です。

でも、赤ちゃんと違い、
大人の場合は「理解不可能なインプット」ではダメです。

大人の場合は理解可能なものをインプットする必要があります。

ちなみに「英語を使わざるを得ない状況に身を置けば、
英語をしゃべれるようになるはず」という考えも間違いです。

なぜならいくらそんな状況に身を置いても、
英語という言語を自分で創造できるようになるわけではないからです。

なのでしっかりと「理解可能なインプット」をして、
それをしながら使う練習をするしかないのです。

留学しても英語が上達しない理由

では留学しても英語力が伸びない理由を、
もうちょっと詳しく考えてみようと思います。

TOEIC400点ぐらいの人がいるとします。

この人が、英語ができるようになりたい、
とか言って語学留学したとします。

そして1年ぐらい英語だらけの生活をしたとします。

ところが先ほど言ったように、
ほとんどが「理解不可能なインプット」のはずなので、
この人の英語力は伸びません。

また、発信能力は受信能力を超えることはできないので
(小説は読めても、小説と同レベルの文章を書ける人はあまりいないはずです)

スピーキングもリスニング力が低ければ、あまり伸びません。

こういう人はたぶん「いい思い出になった」とか言って
日本に帰って来るでしょう。

もちろん、その人が留学中にかなりの努力をすれば話は別ですが
「生活するだけ」ではかなり難しいです。

 
これも私が専門学校生だった時の話ですが、
私のクラスメイトに1年程度の留学経験者が4人いました。

4人とも語学留学です。

Aさんは留学から帰って、1年間専門学校で英語の勉強をして、
TOEICのスコアが680ぐらいになりました。

B君は留学から帰った直後のTOEICが550ぐらいで、
1年間専門学校で英語の勉強をして650ぐらいになりました。

Cさんは留学から帰った直後のTOEICが450ぐらいで、
1年間専門学校で英語の勉強をして550ぐらいになりました。

D君は留学から帰った直後のTOEICが350ぐらいで、
1年間専門学校で英語の勉強をして450ぐらいになりました。

ちなみにAさんは文法もそこそこできるタイプで、
D君は「英会話に文法は必要ない」っていうタイプです。

さらにD君は
「オレが英語を喋れないのは単語がわからないからだ。
単語さえ覚えれば英語はしゃべれるようになるはずだ」
って言ってました(笑)。

※Aさんの留学から帰った直後のTOEICのスコアは忘れました。

 
さらに言うと、
AさんとB君のTOEICのリスニングのスコアは350ぐらいです。

つまり英語をあまり喋れないどころか、
リスニングすらそれほど身に付いていないのです。

もちろん最低限の会話はできますが、本当にその程度です。

この人達の結果を見ると、
いかに語学留学で英語が身に付かないかがわかると思います。

英語圏で1年間生活をしても、ほとんどの英語が「理解不可能」だったために、
こういう残念な結果になってしまったのです。

 
でも、けっこう英語ができる人
(TOEICは最低でも700ぐらい。800以上が理想)
が同じ目的で留学したとします。

この人は400点の人よりも、上で紹介した4人よりも
「理解可能なインプット」が多いので、伸びるのが速くなります。

英語力が伸びれば「理解可能な英語」が増えるので、さらに伸びます。

そういうわけで、英語学習では
「理解可能なものを増やす」ということと、
「理解可能なインプットを大量にする」というのが大事なのです。

英語ができなくても留学で効果を出す方法

ではTOEICのスコアが400ぐらいで留学しても、
まったく意味がないのでしょうか?

実は英語ができなくても、現地の語学学校で
しっかりとトレーニングすれば英語力は伸びます。

もちろんこの英語力で留学するのをおすすめするわけではありませんが。

 
具体的には

文法書を復習して例文を何度も音読したり、

会話表現をしっかりと覚えて使ってみたり、

簡単なペーパーバック(PENGUIN READERSなど)を多読したり、

英字新聞を読んでみたり、

語学学校でもらった教材でしっかりと勉強したり、

ということをすればいいのです。

つまり英語ができないうちは、
日本でやることとあまり変わらない
ということです。

なので基本的には、このくらいの英語力での留学はおすすめしません。

ただしこれに加えて「実際に使ってみる」ということができるので、
そういうこともすれば日本で勉強するよりも習得は速いはずです。

でもこういう大切な基本を無視して
「できるだけいっぱいしゃべるようにする」ということだけをやると、
上で紹介した4人のように失敗します。

もちろん「できるだけいっぱいしゃべるようにする」っていうのは大事ですよ。

でもそれだけでは絶対にダメなんです。

なので私は「英語ができない人の語学留学」は、
払ったお金にしては得るものが少ないのでおすすめできません。

日本でしっかりと勉強をして、その後で留学した方が
はるかに効率がいいからです。

なぜ留学すると英語がペラペラになると思ってしまうのか?

日本には「留学すると英語がペラペラになる」
って思ってる人はけっこう多いです。

なぜこんなふうに思ってしまうのでしょうか?

この原因は「そういう思い込みをする人の英語力の低さ」にあります。

例えばAさんとBさんがいるとします。

2人とも英語はできません。

Aさんが英語圏の国に1年留学して帰ってきました。

カタコトだけど、決まり文句みたいなので
現地の人とちょこっとしゃべれます。

それを見たBさんは、
Aさんのことを英語がペラペラだと錯覚するのです。

BさんはAさんがアメリカの人に

How tall are you?

って言っただけでびっくりします。

「さすが留学しただけのことはあるぜ。英語ペラペラだぜ」

って思ってしまいます。

 
他にも面白い例があります。

私の昔のバイト先のオーナー(60歳ぐらい・男)が、

「自分の娘は英語がペラペラだ」

と言っていました。

話を聞いてみるとその娘さんは当時高校3年生で、
英検2級を持っていました。

私はその頃塾で英語を教えていたので、
通っていた高校のことも色々知ることができたし、

なんと偶然にもオーナーの娘さんの友達が生徒にいたので(マジです)
色々な話が聞けました。

オーナーの娘さんは、そんなに英語が得意ではないみたいです(笑)。

 
それとこれも同じオーナーの話なんですが(笑)、
そのバイト先にある大学の「中国語科」に通ってる生徒がいました。

その人は夏休みを利用して、1人で中国に旅行に行ったりしていました。

ところが中国語はカタコトしかしゃべれないそうです。

バイト先から10分ぐらい歩いた所に大きな本屋があって、
その中では定期的に日本語・英語・中国語・韓国語で館内放送が流れていたのですが、
その放送内容も中国語では理解できないそうです。

なので中国旅行は、本当に身振り手振りで乗り切ったって言ってました。

ところがオーナーはその「中国に1人で旅行に行った」という話を聞くと、
なぜか「こいつは中国語がペラペラだ」と思ってしまっていました。

 
このように「ほんのちょっとだけできる人」というのは、
まったくできない人から見ると未知の領域なんです。

なのですぐに英語がペラペラだ、中国語がペラペラだ、と思ってしまうのです。

この「○○語がペラペラ」っていうのは、
ほとんどの場合、その言語ができない人の錯覚です。

こういう考えが昔からあって
「留学すると英語がペラペラになる」というのが
常識みたいになってしまったんですね。

日本人の平均的な英語力がもう少し上がれば、
この常識は消えてくれると思います。



もしこの記事があなたのお役に立ちましたら、「はてなブックマーク」や「フェイスブック」などで
他の人にも教えてあげて下さい。よろしくお願いします。
「TOEIC初心者だけど英会話もできるようになりたい人の勉強法」のトップページへ